ANAは、職務等級ごとの成果を人事考課へ厳密に反映させる仕組みを整えつつある。AI活用による成果が加点要素として給与に反映される流れができつつあり、ホンダやファミリーマートと並んで、大手企業がAI活用を評価制度そのものに組み込む動きの一つとして注目されている。
「使えるかどうか」ではなく「成果につながったか」を見る
ANAの取り組みで重要なのは、単に「AIを使っているかどうか」を見ているわけではないという点だ。職務等級ごとに求められる成果水準が異なる中で、AI活用によってその成果がどう変わったかを、人事考課の中で厳密に反映させようとしている。つまり評価の軸はあくまで「成果」であり、AIはその成果を出すための手段として位置づけられている。
これは航空業界特有の事情とも関係が深い。安全運航や顧客対応など、成果の定義がシビアに問われる業界だからこそ、「AIを使いました」という自己申告ではなく、実際の成果としてAI活用の効果を測ろうとする姿勢は理にかなっている。
大手3社に共通する「評価軸のシフト」
ホンダは手当という金銭的インセンティブで、ファミリーマートは全社員の目標設定で、そしてANAは職務等級ごとの人事考課で、それぞれ異なるアプローチを取りながらも、狙いは共通している。AIを使えることを特別なスキルとして扱うのではなく、通常の評価軸の中に組み込むということだ。
この流れが意味するのは、「AIが使える人」がボーナス的に評価される時代から、「AIを使って成果を出せない人」がむしろ評価で不利になる時代への移行だ。ツールとしてのAIが普及した今、次に問われているのは、それを使って実際の数字や成果にどうつなげたかという実行力そのものである。
それでも日本の生成AI普及率はまだ22.5%
一方で、日本国内の生成AI普及率は22.5%にとどまり、世界48位という調査結果もある。研修やeラーニングでAIリテラシー向上に取り組んできた企業は多いが、実際に「成果につなげられている」と言える人材はまだ少数派というのが実情だ。
研修を受けさせるだけでは、人はなかなか本気で動かない。人が本気で動くのは、評価と報酬が実際に変わったときだけだ。ANAのように、成果と評価を厳密に結びつける仕組みは、この「動かない構造」に対する一つの答えと言える。
転職活動では「成果」の言語化がカギになる
ANAのような評価軸の変化は、転職活動における職務経歴書の書き方にもそのまま応用できる。「AIツールを使っています」という表現だけでは、成果ベースで評価する採用担当者には響かない。重要なのは、AIを使った結果、具体的にどんな成果や数字の変化が生まれたかだ。
たとえば「AIを活用した顧客対応の効率化により、一人あたりの対応件数を1.5倍に増やした」「AI分析を使った需要予測で、欠品率を〇%改善した」というように、成果に直結する数字で語れるかどうかが、これからの転職市場での評価を大きく左右する。
まとめ
- ANAは職務等級ごとの成果を人事考課へ厳密に反映させる仕組みを整備中
- 見ているのは「AIを使ったか」ではなく「AIで成果を出せたか」
- ホンダ・ファミリーマート・ANAはアプローチが違っても、評価軸をAI前提にシフトさせる点は共通
- 日本の生成AI普及率はまだ22.5%、世界48位
- 転職活動でも「AIで何の成果を出したか」を数字で語れるかが評価の分かれ目になる
今の職場でAI活用の成果が正当に評価されていないと感じるなら、それは自分の市場価値を確かめる良いタイミングかもしれない。

