2035年に求められるスキルとは|技術力と人間力の両輪

何かスキルを身につけなきゃ。そう思いながら、いざ何を学ぶかとなると、急に手が止まる。資格の情報を調べては閉じ、プログラミングが良さそうと聞けば気になり、でも結局始められない。そんな堂々めぐりをしている人を、これまで数えきれないほど見てきました。気持ちは痛いほどわかります。

そういう方に、私はいつも同じことをお伝えしています。迷うのは、選択肢が多いからではなく、軸がないからですよ、と。これから何が価値を持つのかという軸が一本通れば、何を学ぶかは驚くほど絞れます。結論を先に言うと、これから効くのは、技術を使う力と、人としての力。この組み合わせです。

力を二つの方向で見ると、すっきりする

AIが進化するほど、人に求められる力は二つに分かれていきます。ひとつは、AIやデータを道具として使う技術寄りの力。もうひとつは、AIには真似しにくい、人と関わったり新しい発想を生んだりする力です。片方だけでは心もとない。両方をそこそこ持っておくことが、変化に強い土台になります。どちらかに偏っている人ほど、もう片方を少し足すだけで、ぐっと景色が変わります。

技術の力は、専門家にならなくていい

技術と聞くと身構えてしまいますが、エンジニアになる必要はまったくありません。必要なのは、自分の仕事の中でAIやデータを使って成果を出せる、その程度です。AIで資料の下書きを作る、数字を見て気づいたことを伝える、面倒な作業を自動で片づける。このくらいでも、できる人とできない人の差は、これからどんどん開いていきます。むしろ、肩に力が入っていない人のほうが、すっと使いこなしていく印象すらあります。

人としての力は、地味だけど長く効く

もうひとつの、人としての力。答えのない問題に向き合う、相手の気持ちを汲んで言葉を選ぶ、人と協力して前に進める。派手さはありませんが、AIがどれだけ進歩しても価値が下がらない力です。私の実感では、最後にものを言うのは、たいていこちらの力のほうです。AIが当たり前になるほど、人間らしい力を持つ人が、かえって際立ちます。

資格は、手段であって目的じゃない

スキルの話になると、すぐ資格に飛びつきたくなります。気持ちはわかります。形に残るし、頑張った証になりますから。でも、忘れないでほしいのは、資格を取ること自体がゴールではない、ということ。大事なのは、その資格を使って何ができるようになるか。取ったあとに何も変わらない資格より、小さくても実際に仕事で使えるスキルのほうが、ずっと価値があります。

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いちばん強いのは、二つを掛け合わせた人

正直に言うと、市場でいちばん価値が高いのは、技術の力と人としての力を掛け合わせられる人です。AIを使える人はこれから増えます。でも、AIを使って人や組織の困りごとを解決できる人は、まだ少ない。数字を読む力と、それをかみ砕いて伝える力。AIを使う力と、チームを巻き込む力。掛け算で考えると、その人だけの強みが立ち上がってきます。ひとつが平凡でも、組み合わせれば十分に珍しい存在になれます。

得意を伸ばすか、苦手を埋めるか

学ぶ方向で迷ったら、基本は得意を伸ばすほうをおすすめします。苦手をなんとか人並みにするより、得意をもう一段伸ばすほうが、成果にも自信にもつながりやすいからです。ただし、苦手が仕事の足かせになっているなら、そこはAIに助けてもらえばいい。苦手を気合いで克服しようとしないこと。これも、長く学び続けるためのコツです。

Tの字をイメージすると、迷いにくい

伸ばし方に迷ったら、アルファベットのTを思い浮かべてみてください。横の棒は、広く浅く効く基礎力。縦の棒は、ひとつだけ深く掘った専門性。横に広いだけだと器用貧乏になり、縦に深いだけだと変化に弱い。広い土台の上に、自分だけの一本を立てる。そう考えると、何をどこまで学べばいいかが、ぐっと決めやすくなります。

せっかくの学びを、古びさせないために

スキルには賞味期限があります。とくに技術寄りの力は進化が速く、一度学んで放っておくと、あっという間に勘が鈍ります。これを防ぐいちばんの方法は、学んだことを実際の仕事で使い続けること。使っていれば、新しい情報も自然と入ってきます。学んで終わりにせず、使いながら更新する。当たり前のようで、ここをやれる人が、結局いちばん伸びます。

だから、焦って何もかも学ぼうとしなくて大丈夫です。まず得意なほうを一本の軸に決めて、もう片方を少しずつ足していく。それだけで、数年後の景色はずいぶん変わります。何から手をつけるか迷うなら、まずは自分の強みを起点に考えてみてください。一人で決めきれないなら、誰かに方向を聞いてみるのも、立派な一歩です。

独学でいいのか、教わるべきか

よく聞かれるのが、独学でいいのか、誰かに教わるべきか、という質問です。答えは、人によります。自分でコツコツ進めるのが好きなら独学で十分。でも、何から手をつけるか迷う段階では、詳しい人に方向だけ聞いてしまうのが、結局いちばん早い。道に迷ったとき、地図を持っている人に道順を聞くのと同じです。最初の一歩だけ、手伝ってもらう。それも賢いやり方です。

それから、伸びる人に共通することをひとつ。学んだことを、すぐ誰かに話したり、使ってみたりする人です。頭に入れた知識は、外に出した瞬間に自分のものになります。覚えた使い方を同僚に教える、家族に説明してみる。たったそれだけで、身につき方がまるで変わってきます。

時間がない、は工夫で越えられる

ついでに言うと、学ぶ時間が取れないという悩みも、よく聞きます。でも、机に向かう時間だけが学びではありません。通勤、家事、休憩。スキマはあちこちに転がっています。耳で聞く教材を使えば、手がふさがっていても学べます。まとまった時間を待っていると、いつまでも始まりません。細切れの時間を味方につけるのが、忙しい人の学び方です。

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